はじめての外国人職員の受け入れ時には「受け入れ準備を何から始めればいいのかわからない」「外国人職員が他の職員や利用者に受け入れられるか心配」と困惑される管理職の方も多いのではないでしょうか。
一方、外国人職員も「職場になじめるか心配」という不安を抱えています。
外国人職員受け入れ時にはさまざまな不安がありますよね。
外国人職員を円滑に受け入れるために、まずは職員や関係者に外国人材を受け入れる目的や外国人職員の文化や能力について理解してもらい、不安を軽減することが大切です。
その為にも、管理職自身がこれらを適切に理解することが、職員へ協力を求めたり、外国人材を育成したりする上で役に立ちます。
前回のブログでは、外国人材受入れ環境づくりには4つのステップがあるとお伝えしました。
今回は、外国人職員の受け入れ準備の土台となる「STEP1:目的理解/共有」の中で、特に重要となる「管理職による目的理解/共有」について解説をします。
ここでいう管理職とは、外国人職員の受け入れに関する業務を統括する方を意味します。
STEP1:目的理解/共有
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人材定着や組織づくりの基盤として、外国人材の受け入れのヒントになれば幸いです。
ぜひ皆様の職場に当てはめながら、最後までお付き合いください。
受け入れ目的を確認する
まずは、管理職が外国人職員を受け入れる目的を理解しましょう。
多くの管理職は、外国人職員の受け入れが初めての経験のことと思います。
日本人職員の育成では経験しなかったことや、予期せぬことが起こるかもしれません.
3つの質問に答えられるように確認をしておきましょう。
- 外国人職員の受け入れを決めた理由/目的
- その人材に決めた理由(なぜその在留資格・その国の人材を選んだのか?など)
- 受け入れの目的(法人の思い)
課題解決の際に【目的】に立ち返ることは、冷静に考えや行動を整理するために有効です。
特に、3つめの質問は法人の思いに立ち返ることで、教育への信念を持ち続けることができます。
外国人材育成の具体的な目標を設定する
次に外国人職員育成の目標を明確化します。
「シフトを担える一人前の介護士」「介護福祉士の資格取得」など法人によって様々ですが、育成の具体的なゴールを設定します。
管理職が描く理想の目標ではなく、法人が求める目標であるか注意しましょう。
いつまでに、どんな介護士になってほしいのか、知識や経験を培ってほしいのかを事前に設定をすることで、指導者は外国人職員への指導がしやすくなります。
ある施設では、法人としての目標が共有されておらず、それぞれの指導者の目標がばらばらでした。
日本人職員が外国人職員をフォローする場面で、ある指導者には「ここまでできればOK」、別の指導者には「まだまだ指導しないと」などと言われていたため、現場が混乱したケースがあります。
育成の目標が一致していないと、日本人職員も指導を受ける外国人材も困惑します。
また「目標が外国人職員の意に沿わず戸惑っている」と外国人職員本人からご相談を受けることがあります。
例えば、「外国人職員は将来的に介護福祉士の資格を取得したいのに、法人は求めていない」という場合や、その逆もあります。
教育する際には、外国人職員の意志にも配慮しましょう。
日本人職員の役割を明確にする
外国人職員の受け入れや育成を成功させるためには、職場全体の協力が必要です。
管理職の方が業務担当者、業務範囲を含めた役割、指示系統を明確にしましょう。
時折、施設様から「外国人職員の日常生活のサポートはどこまでしたら良いか」というご相談が寄せられます。
例えば、銀行等の手続きや住まいのトラブル、体調不良や通院などのケースです。
一度きり、または短時間の場合は、厚意や協力の元成り立っているようですが、「だれが」「どこまで」サポートできるかを事前に話し合い、決めておきましょう。
このような職場以外のサポートは、外部の外国人材生活支援サービスを利用する方法もあります。
外国人職員が日本での生活に慣れていなかったり、日本語力が未熟だったりすると、実際の年齢より幼く感じてしまい、保護者のような気持ちで過度に接することがあります。
外国人職員は(成人した)社会人です。
外国人職員のプライバシーを尊重し、いつでも相談してもらえる関係を心がけましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
外国人材の受け入れ職場環境づくりには、一緒に働く職員の理解と協力が欠かせません。
職員の中には、言語や文化の違いがある外国人材を受け入れることに、疑問を感じる職員や漠然とした不安を抱える職員もいると思います。
まずは管理者がこれらの疑問や不安に対して明確な答えを持ち、職員へ丁寧に説明をすることが大切です。
次回は「職員の理解と協力を得るためのコツ」について解説をします。
ぜひ楽しみにしていてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
~解説してくれた先生~
山本 陽子 先生 介護職として従事した後、人材育成や職場環境づくりを支援。 |