外国人労働者が抱えやすい悩みと回答例 ~評価・職場関係・人間関係 編

外国人スタッフが抱えやすい悩みと回答例②
評価・職場環境・人間関係 編

外国人スタッフを雇用している企業にとって、彼らは大変な戦力となっているのでないでしょうか。
しかしながら、仕事上または仕事以外において、外国人だからこその悩みも抱えてしまうことが多く、その相談を誰にしてよいかわからないという声をよく聞きます。

そこで、外国人スタッフが抱える悩みにどういうものがあるのか、またそれに対する回答について解説いたします。
外国人スタッフから寄せられるご相談の中から、今回は<評価・職場環境・人間関係>に関するお悩みをご紹介いたします。

今後、外国人採用を考えておられる企業にとっても有益な情報となりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

※Q1~Q4は前回のブログ「外国人スタッフが抱えやすい悩みと回答例①制度・雇用条件 編」をご覧ください。

Q&A

<評価>

Q5:自分が正しく評価されているか不安です。

自分の仕事が正当に評価されているかというのは、とても気になる点ですね。
人が人を評価するのですから、絶対的で統一した基準がない限り、恣意的なものではないかと不安になるのは当然です。
そのような不安を解消するため、現在多くの企業では、1年に1回から数回、上司が部下の評価を公表する、または説明するという制度を取り入れています。

そのような機会を利用して、上司とよく話し合いをもつことをお勧めします。

Q6:現在働いている日本企業が、年功序列型でモチベーションが下がります。

「年功序列型」の評価体系の対極にあるのは「成果主義型」です。
特に、入社してから日の浅い社員にとっては、自分の企業が年功序列型に思えることが多いと思いますし、もっと成果主義型になってほしいと望むものだと思います。

しかし、ここ10~20年ほどで、多くの日本企業は成果主義型に移行してきていると思います。
もとより、100%年功序列型の企業も100%成果主義型の企業も存在しません。
いずれの企業も、それぞれのベストミックスを目指しているはずです。

そして、一概に年功序列型を全否定するべきではありません。
長く務めている社員の持つ「経験」や「人脈」は企業にとって大きな財産ですから、それに対して対価を支払うことは間違いではありません。
また、目先の成果の数字のみを追いかけていては、人材も育ちませんし、企業が進むべき道を誤るという面もあります。

今後も企業は変革を続けていきます。
少しずつでも、それぞれの型の長所・短所を考えて最適な道を選択していくのが正しい道だと思います。

<職場環境・人間関係>

Q7:同じ外国籍枠で採用された先輩が使い捨て同然で会社を退職しました。自分もそうなってしまわないか不安です。

まず理解しておいて頂きたいことは、外国人スタッフも日本人スタッフも、基本的には雇用管理は平等に行われるということです。
昨今、企業業績の悪化などにより事業規模を縮小し、指名解雇等を余儀なくされる場合であっても、「外国人だから」という理由で安易な解雇を行うことはできません。
第三者から見れば解雇されたように見える場合でも、会社側は解雇の回避努力等、実施している場合がほとんどです。

もし不安があれば、会社で選任された「雇用労務責任者」に相談してみましょう。

Q8:これまで指導をしてくれていた先輩が転勤になってしまいました。不安です。

これは外国人だからということではなく、日本人にも共通した悩みです。
信頼できるまたは仲の良い同僚と別々の部署になってしまうのは寂しいですよね。
しかし、転勤や部署変更などのローテーションは、新しい仕事に就く人にとってキャリアの幅が広がり、経験が豊富になるとても良いチャンスなのです。
また、後輩であるあなた自身も、もしかしたら「もう一人で大丈夫」と評価されたのかも知れませんね。

その先輩を笑顔で送り出してあげるのが、これまでの恩返しになるとも言えます。

Q9:文化の違いからくる違和感により、イジメが発生しています。どうしたらよいですか?

母国と日本で文化や習慣の違いに原因がある場合は、違いは違いとして認めて、自らも日本の文化や習慣に歩み寄る姿勢も必要です。
日本には「郷に入れば郷に従え」という言葉があり、住んでいる土地の文化やルールに合わせるという考え方があります。
しかし、そのような考え方があったとしても、嫌がらせをしてよいわけではありません。
あなたが歩み寄る努力をしても、悩みが解消できない場合は、一人で悩みを抱えこまないで誰かに相談しましょう。
身近に相談できる相手がいない場合は、雇用労務責任者や人事・労務の担当者に相談してみましょう。

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。
外国人スタッフは、言語や文化の違いから不安感や疎外感を感じる人は少なくありません。
同僚間でのコミュニケーション機会の創出や、定期的な面談、メンター制度(メンターとは業務等の指導・助言や、精神面の支援をする先輩)を整えることで、気軽に相談でき、不安感を軽減するだけでなく、定着にも繋がります。
次回は引き続き、外国人スタッフのご相談の中から<職場環境・人間関係>のお悩みについてご紹介します。
ぜひ次回もご覧ください。

小坂晴彦  ~解説してくれた先生~

小坂晴彦 先生
桜坂社労士事務所 代表

メガバンクに約30年勤務。
その後、社会保険労務士や国家資格キャリアコンサルタント資格等を取得し、人材紹介をはじめとする人材関連ビジネスに従事中。

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