外国人スタッフが抱えやすい悩みと回答例

外国人スタッフが抱えやすい悩みと回答例①
制度・雇用条件 編

外国人スタッフを雇用している企業にとって、彼らは大変な戦力となっているのでないでしょうか。
しかしながら、仕事上または仕事以外において、外国人だからこその悩みも抱えてしまうことが多く、その相談を誰にしてよいかわからないという声をよく聞きます。

そこで、外国人スタッフが抱える悩みにどういうものがあるのか、またそれに対する回答について解説いたします。
外国人スタッフから寄せられるご相談の中から、今回は<制度・雇用条件>に関するお悩みをご紹介いたします。

今後、外国人採用を考えておられる企業にとっても有益な情報となりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

Q&A

Q1:日本人は年金制度があって、将来、年金が受け取れると話しています。私たち外国人にそのような制度はないのでしょうか?

日本に住む外国人も年金の加入が義務となっており、日本人と同様に将来、年金が受給できます。
ただ、外国人は来日から数年後に日本を離れる可能性が高いため、日本に住んでいる間に支払った分を出国後に受け取る、脱退一時金という制度が用意されています。
脱退一時金は、以下の4つのすべての条件に当てはまる方が、出国後2年以内に請求された時に支給されます。

  • 日本国籍を有しない
  • 厚生年金保険または国民年金の保険料を6ヶ月以上納めていた
  • 日本に住所を有していない
  • 障害手当金を含む年金を受ける権利を有したことがない

脱退一時金を請求すると、これまでに支払った年金の記録は消えます。
詳しいことは、お近くの年金事業所にお問い合わせください。

Q2:賃金が低く設定されてしまっています。何とかなりませんか?日本人の人は最低賃金の設定がありますが、私たち外国人にはありません。

最低賃金は、日本人だけでなく、外国人にも適用されます。
従って、外国人の賃金についても最低賃金を下回る場合は違法です。
その他にも、労働基準法などの労働関係法令はすべて国籍を問わず、外国人にも日本人と等しく適用されます。

Q3:予想していなかった長時間労働に悩んでいます。

労働時間は基本的に、雇用契約書に記載してある通りですが、日本の労働基準法で、労働時間の上限は「1週間で40時間、1日で8時間」と決まっています。
その時間数を超える労働については、労使協定を結んで規定する必要があります。
36協定(さぶろくきょうてい)と呼ばれているものです。
それを超える労働時間は違法となりますので労働をさせた企業が罰せられます。
あなたの「予想していなかった労働時間」というものが、雇用契約書に書かれている時間の範囲外か、又は労働基準法や36協定の定めを超えているかチェックしてみてください。

Q4:希望するように休暇が取れません。どうしたらよいですか?

休日についても労働時間と同様、労働基準法で規定されています。
法律では、毎週1日、あるいは4週間に4日以上の休日と規定されていますが、これは最低限のものであり、雇用契約書でそれ以上の休日が与えられると記載されているケースが多いです。
年次有給休暇の場合、いつ休暇を取得するかは「労働者の希望する日に」が原則ですが、使用者にも時季変更権があります。
つまり、業務の運営が困難になるような場合は、使用者が有休を取得する時季を変更する権利もあることを、頭に入れておく必要があります。

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。
日本の労働基準や制度は、異国の地ではたらく外国人労働者が抱えやすい悩みのひとつです。
外国人スタッフが、どのような不安を感じているのか歩み寄る姿勢は、外国人材の不安の解消にもつながっていきます。
次回は、外国人スタッフのご相談の中から<評価><職場環境・人間関係>のお悩みについてご紹介します。
ぜひ次回もご覧ください。

小坂晴彦  ~解説してくれた先生~

小坂晴彦 先生
桜坂社労士事務所 代表

メガバンクに約30年勤務。
その後、社会保険労務士や国家資格キャリアコンサルタント資格等を取得し、人材紹介をはじめとする人材関連ビジネスに従事中。

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