採用面接では短い時間の中で、初対面である応募者の能力や価値観・人柄を引き出す必要があります。
同じ言葉を話す日本人との採用面接でも容易ではないため、文化的背景や言葉が異なる外国人材との面接では特に難しくなります。
外国人材の採用面接中、このようなお悩みはありませんか?
「採用面接で何を質問したらいいかわからない」
「何を、どのように伝えるべきかわからない」
「聞きたいことが引き出せない」
前回の記事では「外国人材の採用面接前に準備すべき3つのこと」について解説しました。
本記事では、外国人材採用面接ですぐに使える質問例と質問のステップについてご紹介いたします。
採用面接では面接官の質問の質が、応募者の自己開示や意欲醸成に影響します。
面接中に何を質問したらいいのかが定めっていないと、応募者から聞きたい情報を得ることはできません。
また質問の仕方によっては面接官の質問の意図が伝わらず、何を答えたらいいかわからない状況をを作ってしまい、不信感や不安にも繋がってしまいます。
筆者自身も、外国人材の面接や就職支援を開始した当初は、事前準備に加え面接で質問するポイントを整理し、そのステップに沿って面接を進めました。
その結果、応募者から効率的に確認したいポイントを引き出すことができるようになりました。
今では短い時間で信頼関係を構築し、履歴書や職務経歴書からは読み取れない、より多くの情報も得ることができます。
採用面接時の質問項目や順番を整えることで、応募者に聞きたいポイントや確認すべき点が明確になります。
また面接官の関わり方や質問の仕方、内容により、応募者が自己開示しやすい場を作り出すことが可能となります。
安心して面接に臨むために、今日からすぐに実践できる方法で面接の準備をしましょう。
応募者が自己開示しやすい場を作りだす質問のステップ
面接での質問事項と併せて、それを質問する順番、つまりステップも面接のコツのひとつです。
順番を考えずにバラバラな質問になってしまうと、応募者が答えにくく、話が重複してしまったり、面接官も情報の整理がしづらくなったりします。
質問のステップを準備しておくことで、応募者から引き出しやすい面接を確立できます。
大切なことは「時間軸を使って質問を進める」ことです。
応募者の「現在」だけでなく「過去」や「未来」についても確認します。
「過去にどのような経験をし、現在何ができるのか?」
これまでの人生で構築された価値観や興味・人柄を知ることで、入社後にその力を再現できるのかを確認します。
「なぜ今この仕事に就くことを希望し、将来何を実現したいのか?」
具体的な志望動機や将来像を問いかけることで、自社に定着し、継続的な戦力になり得るか、といった将来の可能性を確認します。
外国人材面接ですぐに使える質問例
- 現状・動機や経緯を確認する質問
- 能力・価値観・自己資源(応募者の強みやその根拠)を確認する質問
- キャリアや人生のビジョンを確認する質問
では、ここでは実際に外国人材面接で使える質問例を紹介します。
外国人材との面接では、可能であれば通訳者に同席してもらい、日本語と母国語で行うことをおすすめします。
より外国人材の本来の姿を引き出すことができ、採用後のミスマッチの防止にも繋がります。
● 現状・動機や経緯を確認する質問
現状の確認に加え、来日の理由や日本への印象に関して質問することで、基本的なコミュニケーションスキルや「主体性」が見えてきます。
質問例:
「自己紹介をお願いします」
「日本語を勉強し始めて、どれくらいですか?」
「日本語を勉強しようと思ったきっかけはなんですか?」
「どんなきっかけで日本に興味をもったのですか?」
「どうして日本へ留学したのですか?」
「どうして日本で働きたいのですか?」
「現在の仕事(大学)を選んだ経緯を教えてください」
● 能力・価値観・自己資源(応募者の強みやその根拠)を確認する質問
応募者の強みや価値観、人柄に関して質問することで、日本社会や企業の社風に合うかどうかの志向性(人柄や価値観)や仕事の進め方や乗り越え方、また定めた評価基準に合うかどうかが見えてきます。
質問例:
「これまでどのような仕事(勉強)をしてきましたか?」
「その中で一番頑張ったことはどんなことですか?」
「その時に意識していたことはどんなことですか?」
「仕事(学業)で発生した大変な状況に対して、どのように対処しましたか?」
「この経験からあなたが成長できたこと、学んだことはどんなことですか?」
「あなたが日本で仕事をする上で、大切にしたいことは、どんなことですか?」
「あなたの長所を教えてください」
「あなたが今後克服したいことは、どんなことですか?」
「どのようにストレスを解消していますか?」
● キャリアや人生のビジョンを確認する質問
志望動機、希望職種、今後のキャリアや人生のビジョンに関して質問することで、応募者の志望度や仕事の捉え方が見えてきます。
採用後の配置や企業内でのキャリア形成の指標になります。
質問例:
「弊社に応募した理由を教えてください」
「弊社でどのような仕事をしたいですか?」
「仕事で成し遂げたいことはどんなことですか?」
「3年後、5年後、どのようにキャリアアップをしていきたいですか?」
「休日出勤(残業)が可能な条件はございますか?」
「日本で働いて、その後の人生をどのようにしていきたいですか?」
外国人応募者との面接の流れの一例
上記の質問例を使って、実際に行われている面談の流れの一例をご紹介します。
〈現在〉
① 自己紹介をお願いします ② 日本語を勉強しはじめてどれくらいですか? ③ 日本語を勉強しようと思ったきっかけはなんですか? ④ どうして日本で働きたいのですか? |
〈過去〉
⑤ 今までの仕事(学生生活)で、最も頑張ったことはどんなことですか? ⑥ 具体的に、どのように頑張ってきましたか? ⑦ その時に意識して行っていたことはどんなことですか? ⑧ その結果どうなりましたか? ⑨ この経験からあなたが成長できたこと、学んだことはどんなことですか? |
〈未来〉
⑩ 弊社へ応募した志望動機を教えてください ⑪ 3年後、5年後、どのようにキャリアアップをしていきたいですか? ⑫ 仕事で成し遂げたいことはどんなことですか? ⑬ 日本で働いて、その後の人生をどのようにしていきたいですか? |
時間軸は繋がっているため、応募者が現在の状況を語っている時に、過去の話題があがってくることもあります。
その際は、過去の経験で培われた能力や価値観を掘り起こすチャンスです。質問を重ねて詳しく話を聞いてみましょう。
まとめ
本記事では、面接時の質問のステップと具体的な質問例についてご紹介しました。
質問の順番や質問事項を準備することで、確認することが明確になり、落ち着いて面接に取り組むことができます。
さらに時間軸に沿って具体的に質問をすることで応募者が答えやすくなり、より具体的なエピソードや能力、価値観を引き出すことにも繋がります。
限られた面接時間の中で、より多くの情報を確認するためには事前準備が必要です。
外国人材採用を検討されている担当者は、上記を参考に準備してから面接に臨みましょう。
次回は「求める人材から選ばれる企業になるための面接テクニック」をお届けします。
是非楽しみにしていてください。