介護専門家山本先生のQ&Aコーナー(第5回)

外国人職員が指示を出したとおりにやらず、事故を起こしてしまいました。
どうやったら、言うことを聞いてくれるでしょうか?

ポイント

  • 指示内容(やってほしいこと)を行動ごとに整理する
  • 何を、どこまで、どんな風にやってほしいのかを明確にする
  • 相手が適切に理解しているかの確認をする

ご質問ありがとうございます。

私の身近なところでも、事故が起きたと悩んでいる指導者がいました。
「『杖歩行の利用者を食堂まで連れて行ってください』と指示を出したのに、利用者を席までお連れして、着席まで手伝わず、その場を離れたので、利用者が転倒した」とのこと。

指導者はあたかも、外国人職員の不注意や未熟さだけが理由といったように、ため息をもらします。
「もう一人の外国人職員も『二人介助でやってください』と指示を出しているのに、一人でベッドと車いすの間を移乗してしまい、共倒れ転倒をしたんですよ」とも。

指導者の日々の熱心な指導とご苦労を察しながら、こちらの施設で働く外国人職員の2名とも「指示どおりにやらない(言うことを聞いてくれない)」とのことに、指導者にも課題があるのではないかと感じました。
経緯や現状の聞き取りを進めてみましたが、その意識はないようです。

さて、ポイントに沿って、解説していきます。

指示したいこと(やってほしいこと)を行動ごとに整理する

  1. 適切な介護サービスを行うこと
  2. 安全確保に努めること

この2つの行動を外国人職員にやってほしかったことが自覚できました。
同時に、自分の指示出しが漠然としていることに気づきました。

何を、どこまで、どんな風にやってほしいのかを明確にする

たとえば、この場合の「どこまで(範囲)」は

  1. 利用者を食堂までお連れする(歩行介助を行う)
  2. 利用者が椅子に座り、安全確保ができるまでお手伝いをする(移乗介助を行う)

「どんな風に」というのは、利用者によって違いますが、椅子を引くとか、ふらついた時に支えるために、手が届く距離にいるのか、具体的な手順(方法と介助量)を伝えなくてはなりません。

ていねいな指導者なら、サービスには、相手に対してのはじまりと終わりがありますから、最初の挨拶、体調確認や行動の目的に対する声かけと、「最後に、座り心地を利用者に確認して終了です」まで教えていますよね。

同じく、二人介助でやってもらいたい時も「職員を必ず呼んでください」と説明します。
一人が○○をして、もう一人が○○をしなければ、この方(利用者)は安全が確保できないことを明確にします。

※安全についての指導は第4回をご覧ください。

相手が適切に理解しているかの確認をする

指示や教えた内容は「その後、行動につながったのかどうか」を評価します。
ここでいう評価は、指導者としての評価も含まれます。振り返りですね。

「わかりましたか」「質問はありますか」など確認し、返答次第で指導者から簡単な質問をしたり、内容を復唱してもらいます。
相手が理解度を試されていると不安にならないように、「私の説明はわかりやすいですか」「私がうまく伝えられていないかもしれないので」など、私は配慮しています。
それが自分自身へのフィードバックになり、説明する時のポイントが少しずつわかってきました。

大切なことや時間に余裕がある場合は、書いてまとめてもらうなど、入職時期に応じて、新人研修の一環として工夫してみてくださいね。

次回は、外国人職員からの指示受けに対する相談をお送りします。

※事例は個人情報・プライバシーの保護に配慮して編集しています。

山本陽子 ~回答してくれた先生~

山本 陽子 先生
㈱ケア・ビューティフル 代表

介護職として従事した後、人材育成や職場環境づくりを支援。
また、留学生や外国人介護人材の教育担当も務める。
「書いて覚えて活用する!介護の日本語ドリル」など教材・著書多数。

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